バーにて
水曜のライブ帰りに、バーに寄った。
そこには顔見知りの常連さんが一人いて、店主と話に花を咲かせていた。
私が話についていけないでいると、店主が気をきかせて話を振ってくれた。
「私さんと〇〇さん(常連さん)てなんだか似てますよね」
とんでもない、私こんなに豊かにコミュニケーションとれないもの。と思ったのだが口をついたのはこんな言葉だった。
「そうですか?私この前、”話し方がゆっくりなせいかもしれないけれど、暗い”と言われてしまったんですよ」
話の流れを汲めていないなあと思いつつ、ああ、こんなにも気にしていたんだ、と気付かされていると、
「そういったことをおっしゃる方は、見透かされるのが怖いのですよ。私さんがそういうつもりもなく、言われた意味を考えているだけだとは思いますが」
これを聞いたとき、バーテンダーは強いな、と思った。もちろんお酒を作り、会話をすることが仕事なのだけれど、こういったとき、本当に”武器”になるものを持っている。
帰り道、20代前半のころ友人にすごく落ち着いているねと褒めると、ありがとう。そうなりたいと思ったからかな、と彼女が言った言葉をなぜか思い出した。